『地中海食』『日本食』で心も健康になる!
地中海食や日本食は健康的で、「長寿を目指すには世界的に最も適した食事」だといわれています。
伝統的な食事は、野菜や果物、海産物など「自然で採れる新鮮な食品を使い、加工品を使うことが少ない」ため、栄養学的に優れています。
そんな地中海食や日本食ですが、実は体の健康だけでなく「脳や心にも良い効果をもたらす」ということが分かっています。
今回は、「地中海食や日本食が僕たちの脳にどのような効果をもたらすのか?」についてお話していきます!
『地中海食』『日本食』とは?
健康に良いとされる「地中海食」や「日本食」
具体的にどのような食事かご存じですか?
それぞれ分けてみていきましょう!
地中海食
地中海に浮かぶクレタ島の食事を、アメリカの栄養学者アンセル・キース氏が『地中海食』と名付けたことが始まりです。
野菜や果物、オリーブや穀物・豆類などが豊富。
栄養面は必要量をしっかりと満たしており、「環境や経済資源的にも、地域にうまく適応した食事」だと言われています。
下記は、1993年「地中海食に関する国際会議」で定められた地中海食の定義の一部です。
【地中海食の定義】
・植物性食品が豊富であること
・加工度を最小限にとどめた、四季折々のその地域で作られた新鮮な食品を使うこと
・デザートには果物を食べること
・油脂類の主な摂取源としてオリーブ油を用いること
・少しか適量の乳製品を食すること
・卵の摂取は週に4個未満であること
・赤身肉の摂取はまれであり、少量であること
・適量のワインを、食事とともに飲むこと
地中海食の特徴としては、まず、野菜や果物、穀類など食物繊維やビタミンがしっかりと摂れる食品が多いことが挙げられます。
そして、飽和脂肪酸の多い乳製品や赤身肉の摂取量が少なく、かわりに血液をサラサラにするといわれているオリーブ油をたっぷりと摂取しています。
そして、砂糖やバター等を含む「お菓子類や加工食品をあまり食べない」ことも健康の秘訣だといえます。
地中海食に近しい食事を継続して摂っている人たちは、「循環器疾患(脳卒中や心筋梗塞)やがんによる死亡率が低い傾向にある」ようです。
日本食
ここで言う日本食とは、伝統的な食事『和食』のことをいいます。
和食とは、「自然から摂ってきた食材を、日本の伝統的な調理方法によって調理したもの」です。
地中海食と同様に、肉や乳製品などの飽和脂肪酸の摂取量が少なく、野菜や豆類・きのこ・魚などをたくさん食べます。
そして、日本食の大きな特徴ともいえるのが、「納豆や漬物などの発酵食品を頻繁に食事に摂り入れていること」です。
食物繊維や発酵食品を摂ることで、腸内環境も整い、とても健康的な食事だといえます。
地中海食や日本食はうつ病に効果的?
「地中海食や日本食がうつ病のリスクを軽減する」といったすごい研究結果が出ています!
それぞれの研究結果をみていきましょう!
地中海食の研究結果
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(ULC)の研究チームは、「食事とうつ病のリスクの関係」について分析した既存の研究結果40件以上について、さらに分析を行いました。
その内4つが「地中海食とうつ病」の関係性に着目した研究です。
結論から言うと、「健康的な地中海食を摂ることがうつ病のリスク低下に強い繋がりをもつこと」が分かりました。
このデータは、地中海式の食事を日々摂取している人と、地中海式の食事を摂る回数が最も少なかった人を比べたものです。
なぜそのような効果が表れるのでしょうか?
その理由は、「砂糖や飽和脂肪酸は体にとって炎症成分となり、地中海食はそれらが少ないから」なのです。
また、地中海食で食べられる野菜や果物、ナッツ類やワインには抗炎症作用、抗酸化作用があります。
それらを摂取することで、脳を炎症や酸化から守り、うつ病などの精神的ストレスに対して良い効果を与えているようです。
また、青魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)は、認知機能の改善に効果があると聞いたことはないでしょうか?
血液をサラサラにする効果があるため、血栓を予防したり、抗炎症作用、降圧作用など健康に良い効果をもたらします。
そして、脳の神経細胞を保護し、「自己治癒力を高める効果がある」ともいわれています。
日本食の研究結果
国立国際医療研究センターで行われた研究です。
野菜や大豆製品・きのこ・果物を良くとる日本食(和食)は「健康食」と言われ、「うつ症状も減少させる」という研究結果が発表されました。
この研究では、野菜・大豆製品・きのこ・果物を良く摂る「健康的な日本食型(和食)」、肉類を良く摂る「動物性食型」、そして「欧米型朝食型」の3つの食事パターンで対象者を分け、うつ病との関連を調査しました。
対象者は、福井県の21~67歳の男女521名となっています。
その結果は、「健康的な日本食型(和食)」の食事パターンの人たちで「うつ症状の頻度が44%減少していた」ことがわかりました。
「健康的な日本食型(和食)」の人たちが摂っていた食事には、魚・緑黄色野菜や根菜類・きのこ・芋類・海藻・果物・大豆製品・緑茶などが含まれています。
この結果からみても、食物性食品をしっかりと摂り、赤身肉や乳製品など飽和脂肪酸の多い食品の摂取量は少ないなど、地中海食と日本食は似ている点が多いことがわかります。
『腸』と『脳』の関係性とは?
『脳腸相関』という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
緊張や不安を感じると腹痛が起こったり、旅行などで環境が変わると便秘になってしまう。
というように、「脳と腸はお互いに影響を及ぼし合う関係である」ということです。
腸には脳と同じように、情報を受け入れ伝達するための腸管神経系と呼ばれる神経ネットワークが存在しているといわれています。
脳と腸は、体中の様々な情報を常に交換し合っているのです。
そして、最新の研究では腸から脳へ送られる情報に、「腸内細菌の存在が大きな影響を与えている」ことが明らかになってきました。
無菌マウスを使ったある研究で、無菌マウスは腸内細菌を持つマウスに比べストレスを感じやすい体質であり、また脳を成長させるための因子が少ないことがわかりました。
その後、無菌マウスに通常の腸内細菌を移植したところ症状が改善したのです。
腸内細菌がストレスや脳の成長に深く関わっていることがわかりますね。
「緊張でお腹が痛くなる」原因とは?
また、ストレスによって症状が起こるといわれている「過敏性腸症候群」についても同じように、腸内細菌が影響していると考えられています。
腸に問題はみられないのにもかかわらず、腹痛、便秘、下痢などの症状を繰り返してしまう病気です。
過敏性腸症候群の患者は、ストレスの信号が腸に伝達されやすい上、腸が過敏に反応し痛みを感じやすい傾向にあります。
そして、またその痛みが脳へ伝達されることで、より苦痛を感じやすくなっているという悪循環が生まれているようです。
そしてそれらは、感染症である腸炎をきっかけに発症していることから、腸内細菌が関与していると考えられています。
これらの事から、「健康的な食事をしっかり摂って、腸内環境を整えることが大切だ」ということがわかります。
科学者も認める『スーパーフード』をご紹介
腸内環境を整えるのに効果があるスーパーフード
それは『発酵食品』です!!
味噌や漬物などの乳酸菌は善玉菌の一種です。
納豆の納豆菌や塩麹の麹菌がそれら善玉菌を活性化させ、腸内環境の改善に繋がるというわけです。
タンパク質や脂質をエサにして増殖する悪玉菌は、肉類中心の食事を続けることで増えてしまいます。
それによって便秘を引き起こしたり、有害物質の発生、免疫力の低下などを引き起こします。
バランスのとれた食事と、発酵食品を上手く組み合わせていくといいですね!
まとめ
日本人の食生活は、昔に比べ和食を食べる機会が減り、欧米化が進んでいるといえます。
肉や乳製品を日常的に摂っている人は多く、反対に魚や野菜・果物の摂取量は目安量に達していないという人も多いのではないでしょうか?
ここで1つ伝えておかなければならないのは、「地中海食が健康的な食事であることは科学的根拠をもって証明されている」のですが、残念なことに「日本食が健康によいことを証明する研究結果や論文は少ない現状にある」ということです。
日本食は、みそ汁や干物、漬物など塩分過多になりやすい食事ともいえます。
これらのことから、胃がんや脳卒中の発症率が高かった過去があります。
味の濃いおかずを白米と一緒に食べる習慣があるため、必要以上に塩分や炭水化物を取りすぎてしまう傾向にあると思われます。
「日本食を食べていれば心も体も安泰だ」と決めつけるのではなく、地中海食の考えや発酵食品を取り入れたり、減塩を心がけたりすることも健康で長寿を目指す上での大切なポイントになってきます。
地中海食や日本食を中心とした健康的な食事で、精神的ストレスも寄せ付けない身体づくりを目指しましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。
また別の記事でお会いしましょ〜う!