間違った知識で卵を無駄にしてしまう!?
今回は、2020年イスファハン大学の研究などをもとに卵の食べ方について徹底解決します!
卵を効果的に食べ、また良質なたんぱく質を摂取し、「筋肉を大きくしたい!」と考えている人に情報をお伝えしていきます!
タンパク質はどのように身体に作用し、筋肉を大きくしていくのか?
まず、タンパク質の種類について知っておかなければなりません。
単純に「プロテインを飲んでおけばいい」という間違った認識となってしまうので、タンパク質についての基礎的な知識は重要です。
そもそも、タンパク質は20種類のアミノ酸から構成され、1gあたり4kcalのエネルギーを持ちます。
アミノ酸は「必須アミノ酸」と「非必須アミノ酸」に分かれています。
必須アミノ酸は体内で作り出すことができないので、外からの摂取が必要となってきます。
人間の身体を作っている必須アミノ酸は9種類あり、その種類は、
「ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン」です。
その中でも「バリン・ロイシン・イソロイシン」はBCAAと呼ばれており、有名です。
これらの必須アミノ酸が一つでも不足すると、筋タンパクの合成率が大幅に下がってしまいます。
つまるところ、「すべてのアミノ酸が筋肉を肥大させる為に重要だ」ということです。
「筋肥大のために重要なアミノ酸がロイシンである」ということは、筋トレに興味のある方はよく知っていると思います。
「筋肉を構成するのはロイシンだ」と勘違いする人もいるほどです。
『ロイシン』について
2007年コペンハーゲン大学の研究ではロイシンは筋タンパクの合成促進だけではなく、
「筋タンパクの分解抑制にも役立っている」ことが分かっています。
筋肥大は筋タンパクの分解を合成が上回ったときに起こりますので、ロイシンは筋肥大に重要だということが分かりますね。
ただ、「ロイシンにはその能力を持続させる効果はない」ということも分かっていて、
このロイシンの能力を持続させるためには他のアミノ酸をしっかりと摂取することが必要です。
「筋肥大のためにはロイシンだけが重要だ」と考える人もいますが、ロイシンだけでは十分に能力を発揮させることはできません。
また、ロイシンには閾値が存在するということが、2011年神戸大学大学院の研究で分かっています。
効果を発揮する限界量がそれぞれ決まっていて、「ある一定の限界量を摂るとそれ以上は意味がなくなる」ということも分かっています。
要は、良質なタンパク質を食材から摂ろうと思うなら、偏ったアミノ酸を含むものではなく、
「まんべんなく必須アミノ酸を含む食べ物を摂ることが重要」ということです。
そのような食材が『卵』なのです!!!
卵はガチのスーパーフード
卵はアミノ酸スコアが1.0、タンパク質効果比が、3.9、生物的価値が100の圧倒的な数値を表しているスーパーフードが卵なのです!
数値だけでも卵の素晴らしさは明らかですが、他にも様々な研究で卵の素晴らしさは明らかになっていて、
2016年に行われたメタ分析では30万人のデータを解析し、「1日たった1個の卵の摂取で脳血管疾患のリスクが12%減少する」という結果が出されています。
アンチエイジング、心疾患の減少、脳機能の向上などの効果も発揮する食材が卵なのです!
ただし、卵の食べ方を間違えると、効果がなくなってしまいます…。
その食べ方をこれから紹介していきますね!
卵の間違った食べ方・間違った知識
2017年トロント大学で「卵の食べ方によって筋たんぱく合成率にどう変化するのか?」という実験が行われました。
実験方法は、まず10人の男性を「全卵を摂取するグループ」と「卵白だけを食べるグループ」に分けます。
そして、それぞれ「トレーニング5時間後の筋タンパクの合成にどのような違いが生まれるのか?」を調べました。
もちろん、どちらもタンパク質18gに統一し検証されていました。
結果は、卵白のみを摂取するBグループよりも、黄身を含む全卵を摂取したAグループの方が、筋タンパクの合成率は有意に向上したのです!
卵の構成として卵白にはタンパク質が多く含まれ、黄身には脂質が多く含まれています。
2017年以前は「黄身は筋肥大には役に立たない」と考えられていました。
それが今回、トロント大学の研究から、黄身は卵白に含まれるタンパク質の吸収率を高めることが明らかにされました。
対象者が10人と少なく、短時間での筋タンパクの合成の変化しか見ていません。
この研究だけでは、筋タンパク合成に黄身が有効かどうかの結論は出ていませんが、
「卵が筋肉に良い!」というのは完全に証明された形になります。
2020年 イスファハン大学から出された研究結果
A:筋トレ歴1年以上の平均年齢25歳の男性30人を対照に全卵+筋トレをするグループ
B:卵白+筋トレをするBグループ
この2つのグループで12週間の追跡調査を行いました。
そして、「どちらが筋肥大が起こりやすいのか?」を調べました。
その結果、筋肉量に関しては有意差はみられませんでした。
ただし、「体脂肪率は、全卵グループで有意に減少し、筋力は全卵グループで有意に向上」しました!
また、テストステロン値も全卵グループで大幅に向上したという結果が出されました。
つまり、「卵は黄身を含む全卵を食べた方が脂肪率を減少させ、筋力、テストステロン値を向上させる」という結果が出されたのです!
筋肉量に関しては12週間では有意差は出ませんでしたが、データでみるとわずかにAグループの方が向上していました。
なので、6か月や1年といった長いスパンでみると、筋肉量に関しても有意差が出てくるかもしれません。
卵のコレステロールは大丈夫?
つまり卵の間違った食べ方とは、「タンパク質を含む卵白だけを食べる」ということです。
卵は卵白だけではなく黄身も一緒に食べる必要があります。
しかし、ここで気になるのが、「黄身に含まれるコレステロールが、食べ過ぎると身体に悪い」ということです。
黄身には脂質(コレステロール)が多く含まれるので、これを避けるために卵白だけを食べるという意見です。
1980年代には卵を1日2個以上食べると血中のコレステロールが上昇し、心疾患のリスクが上がりやすいと言われてきました。
実際に、2019年ノースウエスタン大学の研究では「週に3個以上の卵を食べると心疾患や早死にのリスクが高まる」という結果が出されています。
タンパク質を多く含む最高の食材である卵ですがリスクも伴うというのが約3年前、2019年までのデータでした。
卵は食べ過ぎない方が良いという学者が多いですがその科学的根拠となっているのが、2019年のノースウエスタン大学の研究結果であることが多いです。
ただし、このノースウエスタン大学の論文は研究の質としては低く、この結果に疑問を呈したのが2020年、アンブレラレビューです。
これは、研究の質としては最も信頼性の高い、レビューやメタ分析を集めて結果を導き出す、最高の研究デザインとされています。
2020年の研究では、7つのシステマティックレビューと15のメタ分析により、「卵の個数により、心疾患のリスクは高まるのか?」という問題を検証しました。
その結果、「基礎疾患を持っていない健康な方であれば、卵の消費量が増えたとしても、心疾患のリスクは上がらない」ということでした。
健康なら卵は無害!
ただし、糖尿病などの基礎疾患を持っている人では、心疾患のリスクは上がるということで、
まとめると、「健康的なライフスタイルを送っている人は、1日に6~12個の卵を食べても全く問題がない」という結果です。
つまり、健康的な生活を送っている人は卵の数は気にしなくてよいということです。
実際に僕も1日に卵を3~4個は食べていますがコレステロール値で引っかかったことはありません!
病気を持っている人は別ですが、健康体な方は卵の数は気にせずに食べてくださいね。
「卵の数を制限してしまう」これが卵の間違った食べ方の2つ目です。
昔の知識で止まっている人は、卵白のみを食べる、また、卵の数を制限してしまうという誤った食べ方をしてしまいますが、
実際は、卵は黄身も一緒に食べた方がいいですし、健康体の方は個数は気にせず食べるというのが正しい卵の食べ方です。
食べ方としてはゆで卵が最もおすすめです。
生卵ですと栄養価は高いのですが吸収率が低くなり、焼くと必要以上にビタミンが壊れてしまいます。
筋肉にとって最も良い卵の食べ方が、「ゆで卵をそのまま個数を気にせずに食べる」ということになりますね。
【良質なたんぱく質が摂れる食材BEST4】(卵以外)
BEST4 肉
アミノ酸スコア0.92
タンパク質効率比2.9
生物学的価値80
筋肉のためには鶏肉がいいという人もいますが、
それは、脂肪が少ない部位があるためで、栄養価的には優劣はつけられません。
牛肉の赤身は豚肉や鶏肉よりも多く栄養素は含まれていますが、
飽和脂肪酸も多いため癌の発生率を上げるとも言われています。
豚肉は、牛肉よりは劣りますが、鶏肉よりは高い栄養価を持っています。
鶏肉は牛肉や豚肉より栄養価は劣りますが、飽和脂肪酸も少なく価格的には他の肉より低いです。
筋肉のためには、肉は必ず必要になり、牛肉、豚肉、鶏肉をまんべんなく摂取することをおすすめします!
BEST3 魚
アミノ酸スコア0.92
タンパク質効率比2.9
生物学的価値80
肉と比べて数値的には大差はありませんが、肉に比べて圧倒的に健康面で優秀だということです。
その理由として、2013年ベルゲン大学の研究があげられます。
肥満体形の男女34人を対象に、タラからの抽出物を含むサプリを摂取する群とプラセボ群に分けました。
普通の生活を8週間続け、筋肉、脂肪、血糖値、コレステロールにどのような変化が起こるのかを調べました。
特に、筋トレや、運動は追加しませんでした。
その結果、タラのサプリメントを摂取したグループでは、体脂肪率が1.6%減少、筋肉量が0.8%増大、血糖値、インスリン抵抗性、コレステロール値が改善されました。
そのため、健康面という側面からも肉よりも優秀な魚を週1回は摂取することをおすすめします。
BEST2 大豆
アミノ酸スコア1.0
たんぱく質効率比2.2
生物学的価値74
肉や魚よりもアミノ酸スコアが高く、健康面を考慮して優秀な食材です。
最近では大豆と筋肥大に関する研究も進んできています。
大豆のたんぱくからも筋肥大は有意に起こるというデータも出されてきています。
大豆のもっとも有名な効果として、血液をサラサラにしてアンチエイジング効果があるということです。
一方で、大豆に含まれるイソフラボンは男性ホルモンであるテストステロンの分泌を減少させるという結果も出されています。
BEST1 全乳
アミノ酸スコア1.0
タンパク質効率比2.5
生物学的価値77
必須アミノ酸をすべて持っていて吸収率が高い食材です。
2006年テキサス大学の研究では、トレーニング経験のない被験者を対象にして、
「全乳を摂取したグループ」と、「低脂肪牛乳を摂取したグループ」に分け、筋タンパク合成の変化を見ました。
その結果、全乳を摂取したグループで筋肥大がみられ、筋タンパク合成という点から、「牛乳を飲むなら、無脂肪乳や低脂肪乳ではなく全乳が良い」ということが明らかになりました。
僕のおすすめは脱脂粉乳です。
低脂肪乳や、無脂肪乳と混同しやすいですが、脱脂粉乳は牛乳から水分、脂肪分をカットしたものです。
無脂肪乳、低脂肪乳は牛乳を加工して作ったものなので、栄養価が全く違います。
牛乳に含まれる脂肪分は女性ホルモンを増やす働きや、癌の発生リスクを高めるということは様々な研究で言われています。
なので、乳脂肪を極力抜き取った脱脂粉乳をおすすめします!
まとめ
長くなりましたが、一言で言うと、「卵の間違った食べ方は、卵白だけを摂取してしまう、卵の数を制限してしまう」ということです。
黄身に含まれる脂質には、タンパク質吸収促進、筋肥大、筋力増強、体脂肪減少に効果があります。
黄身に含まれるコレステロールは健康な人には害になりません。
良質な卵を正しい知識で摂取し筋肉をより大きく強くしていってほしいです。
まぁ、とにかく卵は積極的に食べた方が良いってことですね!
最後までお読みいただきありがとうございます。
また別の書籍でお会いしましょう!